title 温かい心(NO.43)

「手、冷たいね…」

あの雪の夜、君はそう言ったっけ
なら、今の君の心もきっと、とっても温かいのかな
淡い微笑みを僕に向けて眠る君
僕の膝に頭を乗せて、残りわずかな熱を僕にうつす君
いくらキスをしても、君はもう目をあけようとはしない
もう、その頬を朱に染めて僕を見上げてくることもない

君の後を追うように、頭上でまた桜が散って宙を舞った
残された僕は、そうして桜とともに静かに泣いたのだった