title 死の晩酌(作品NO.023)
彼の手にしている銀の盃に紅のワインが注がれた
途端に彼はそのワイングラスを投げ捨てた
毒物を示す、銀の変色が見られたからだ
彼は立ち上がろうとしたが、それは無理だった
毒は肴のほうにも仕込まれていたのだ

〜後記〜
実際に中世、貴族の間では毒物混入の有無を確認するためもあって、盛んに銀食器が作られた。また大きな盃は酒の飲んでいる間、前が見えなくなり暗殺者に隙を見せてしまうということで、底が透明のガラスでできた特注品を競って作らせた。

title ラストワーク(作品NO.024)
タイローンという港町で暗躍する暗殺者がいた
彼は自我を全て捨てて職を全うしている者として有名だった
彼はある日、パブで新たな依頼を請けた
獲物は同業者であるギルという人物なのだが、いくら探しても見つからない
そして考えた末、彼は自分の胸を軽刀で一突きにした
自分の名前がギル=ロングバートであることを思い出したのだ